12月5日,参議院国家安全保障に関する特別委員会において特定秘密保護法案の採決が強行され,翌6日,本会議において可決され,特定秘密保護法が成立した。
当会は,これまで同法案について,①特定秘密の範囲が広範かつ不明確で,恣意的な秘密指定がなされるおそれがあるため,知る権利の保障や国民主権を後退させるものであること,②秘密指定等の適正をチェックする独立した第三者機関が存在しないこと,③処罰範囲も広範かつ不明確であり,罪刑法定主義の観点からも重大な疑義が存し,取材活動にも深刻な萎縮効果をもたらすこと,④国会議員への特定秘密の提供についても行政の裁量の余地が残されており,国会の内閣に対するコントロール機能が後退すること,⑤適性評価制度により国民のプライバシーが侵害されるおそれがあること,などを指摘し,同法案の廃案を求めてきた。
国会における審議では,衆議院において法案の修正案が提案されたものの,それらについての十分な審議はなされず,当会が指摘し,多くの国民が懸念している問題点がなんら解消されないままで可決されたものであり,参議院においては,衆議院における審議において検討が不十分であった点についてさらなる審議がなされる必要があった。
それにもかかわらず,法案全文が国民に明らかにされた10月25日からわずか1ヶ月余りの短期間で,十分な審議による問題点の解消すらなされずに衆議院に引き続き参議院でも特別委員会において採決を強行し,本会議において同法案を可決したことは,国民主権・民主主義を冒涜するものと言わざるを得ず,当会はその採決に強く抗議する。
当会は,国民主権や基本的人権の保障を損なうおそれのある特定秘密保護法の廃止を求める。
2013年(平成25年)12月13日
仙 台 弁 護 士 会
会長 内 田 正 之