弁護士業務妨害に対する会長声明
本年8月11日午後5時ころ、当会所属弁護士の法律事務所が所在するビルに多数の消防車が相次いで到着し、周辺一帯が一時騒然とする事態が発生した。消防署に確認したところ、消防車が出動したのは、外線から消防署の受付に当該法律事務所で火事が発生した旨の虚偽の通報がなされたためとのことであった。
この事件の直前、当該弁護士は、いわゆるヤミ金融業者と電話でやり取りをしていたが、ヤミ金融業者からは、「ぶっ殺すぞ。」「出前届けてやるよ。今日の晩飯何がいい。」などの脅迫的な言動が発せられていた。その直後から、同弁護士の事務所には、嫌がらせ電話がひっきりなしにかかる状態が30分以上にわたって継続し、間もなく上記の事態に至ったものである。また、同日午後4時30分頃には、配車の発注があったとしてタクシー5台が当該法律事務所のあるビルに到着したり、午後5時過ぎ頃には、仙台中央警察署の警察官が当該法律事務所を訪れるという事態も起こっている。
ヤミ金融業者との交渉後に、その交渉をした弁護士の法律事務所に様々な嫌がらせがあった例は全国で多発しており、本件の交渉の前後の事情をふまえれば、本件も、交渉をした相手方のヤミ金融業者からの内容虚偽の通報等によるものにほぼ間違いない。
ヤミ金融業者は、金融機関等から融資を受けることができない多重債務者の窮状に付け込み、出資法が刑罰の対象として規程する利率をはるかに上回る高金利で貸付けを行い、返済が困難になると本人の自宅・職場のみならず親戚や近隣の者にまで手当たり次第に電話したり電報を送りつけて違法な取立を行うという極めて悪質な業務を行っており、その被害は深刻な社会問題となっている。
当該ヤミ金融業者の本件嫌がらせ行為は、市民が弁護士に依頼して紛争を法的に解決しようとする正当な権利や、近隣住民らの平穏安全な生活を脅かす、極めて悪質なものであるばかりか、弁護士業務に対する許しがたい妨害であり、到底看過することができない。
本件に関しては、本日、被害を受けた弁護士が、仙台中央警察署に、当会会長を含む多数の弁護士を代理人として、威力業務妨害罪による刑事告訴を行った。当会も、上記の違法行為をした者を徹底的に処断すべく、捜査機関に対して直ちに厳正な捜査を開始されるよう強く求めるとともに、弁護士に対する業務妨害行為に対しては、毅然として対処することを改めて表明するものである。
2004年8月20日
仙 台 弁 護 士 会
会 長 鹿 野 哲 義