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平成14年5月15日会長声明

2002年05月15日

民事法律扶助事業に対する抜本的財政措置を求める声明 

 民事法律扶助法は、民事法律扶助事業の統一的な運営体制の整備及び全国的に均質な遂行のために必要な措置を講ずることを国の責務とし、民事法律扶助事業の全国的に均質な遂行の実現に努めることを指定法人の義務としている。

 

 民事法律扶助事業の実施の指定を受けている財団法人法律扶助協会は、国に対し、平成13年度の民事法律扶助事業の補助金として、59億8000万円の要望をした。 これに対する国の決定額は25億7500万円弱であり、その後に認められた補正額2億8000万円を加えても約28億5500万円にとどまった。 一方、同年度に扱った財団法人法律扶助協会の事業のうち、代理援助の件数だけでも29,855件に及んでおり、財源不足のため、年度末には同協会の各支部において受付窓口を閉鎖したり、全国30以上の支部で自己破産の利用を制限したり、申込みは受け付けても扶助決定を4月以降とするなどの状況を呈するに至った。

 

 そこで、財団法人法律扶助協会は法務省に対し、平成14年度の民事法律扶助事業の補助金として66億円余の予算要望を行い、法務省は36億円の概算要求をまとめたものの、内閣府及び財務省の査定を受け、平成14年度の予算は要望額の半額以下である、約30億円しか認められなかった。

 

 しかしながら、30億円の国庫補助金では償還金等を加算しても平成13年度の事件数にしか対応できず、代理援助の件数が40,000件に近づくことが予測されている平成14年度は、前年度と同様、年度途中で財源不足のために、再び同協会の全国の各支部で援助申込受付を中止せざるをえない深刻な事態となることが予想され、このままでは民事法律扶助制度は破綻し、経済的弱者の司法へのアクセスが閉ざされることとなる。

 

 現に、同協会仙台支部においても、自己破産事件については平成13年度時点で既に希望者の半数程度しか援助決定ができておらず、更に本年度は一般民事事件についても件数制限を真剣に検討せざるを得ない状況にある。

 

 民事法律扶助制度は、憲法第32条の「裁判を受ける権利」を実質的に保障する制度であり、平成13年6月12日に発表された司法制度改革審議会の意見書では、「民事法律扶助制度については、対象事件・対象者の範囲、利用者負担の在り方、運営主体の在り方等について、更に総合的・体系的な検討を加えた上で、一層充実すべきである」とし、民事法律扶助の拡充を求めている。

 

 仙台弁護士会及び財団法人法律扶助協会仙台支部は、国に対し、国民の裁判を受ける権利を保障し、利用しやすい司法を実現するために、民事法律扶助事業に対する補正予算を計上するなど直ちに必要な財政措置を講ずることを強く求めるものである。

 

2002年(平成14年)5月15日

仙台弁護士会会長

           犬 飼 健 郎

 

財団法人法律扶助協会仙台支部

  支部長   渡 邊 克 彦

 

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