新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中で急速に拡大し,宮城県でも多数の感染者が発表されています。同感染症の拡大防止のため令和2年4月7日に発出された新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言は,同月16日に全国に対象が拡大されました。宮城県においても施設の使用停止,外出自粛の要請及び催物開催の自粛要請が出され,県内のほとんどの公立学校も同年3月から一斉休校等が続いています。
新型コロナウイルス感染症の流行への対処は長期化のおそれもあり,適時の対応とともに粘り強く冷静な対応も必要です。感染症による生命・健康への危険に対し,多くの医療関係者の方々が尽力しています。何よりも,その方々を支え,医療崩壊を防止する慎重な行動が必要です。他方で,多種多様の深刻な問題が生ずることも避けられない状況です。実体経済の収縮による倒産等の増加,収入減や失業による生活困窮者の増大,子どもたちの教育を受ける権利の制約,DVや虐待の増加,高齢者や障がい者の孤立,医療介護従事者に対する過重な負担や差別,感染者等への不当な差別等も生じています。このような中で最も深刻な被害を受けるのは,経済力,発言力のない方々であり,本人に起因しない被害は,社会全体として受け止めるべきであり,一部の事業者や個人にその負担を強いるべきでありません。
当会は,今後増大が見込まれる法的ニーズに対応するために,感染防止を図りつつ,できる限りの市民サービスを継続します。行政等への相談担当弁護士派遣も継続し,弁護士紹介も継続しています。弁護士会館等での面談による法律相談は電話相談に切り替えて継続しています。また,簡易迅速な紛争解決手続であるADRの運用も非接触の工夫をするなどの対応をはじめています。
この感染症特有の問題があり,これまでの災害等では有効だった支援策が当てはまらない場面もあります。当会としても,相談活動等から得た情報を踏まえ,その時点で有効かつ感染リスクの低い新たな支援策を打ち出していきます。今後の社会情勢を注視し,適切な法的サービスを提供できるよう,最大限の努力をする所存です。
また,当会は,基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする法律家の専門家集団として,様々な意見を発出してまいりました。当会は,新型コロナウイルス感染症から生じる多種多様な困難な問題についても,法律相談やADR等から市民のニーズを把握しながら,感染の不安を訴える心情を適切に理解しつつ,個人を尊重し,基本的人権を擁護し,社会的弱者や経済的弱者を支え救済し,不当な差別を防止する立場から積極的に意見を発信していく所存です。
当会は,行政,関係各団体,日本弁護士連合会,東北弁護士会連合会等と連携しながら,新型コロナウイルス感染拡大から生じる様々な困難を乗り越えるべく,全力を尽くしてまいります。
2020年(令和2年)4月28日
仙 台 弁 護 士 会
会 長 十 河 弘