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ホームレス状態での生活保護適用に際し、生活保護法に基づく急迫保護の実施と住宅扶助としてのホテル等への宿泊費の支給を求める会長声明

2020年05月21日

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う社会・経済の混乱により、職を失うなどして経済的に困難な状態に陥る者が増加している。その中から、家賃の支払いができず、新たにホームレス状態に陥る者も少なくない。仙台市内で新たに路上生活を始めた者が出ているとの報告もある。
生活に困窮した者が、生活の立て直しのために用いるべき手段として存在しているのが生活保護である。しかし、ホームレス状態にある者が生活保護申請を行った場合、申請を直ちには受け付けられない事案が宮城県内でも生じている。
そういった事案では、福祉事務所が、申請を希望する者に集団での生活となる路上生活者等自立支援ホーム等の施設の利用を事実上強制し、それを拒否する者の申請を受け付けようとしなかったり、生活保護の申請を受け付けても、ホテル等に宿泊するための費用の支出には応じようとせず、申請を希望する者が路上生活を余儀なくされることも起こっている。
しかし、厚生労働省は、ホームレス状態にある者からの生活保護申請があって保護を開始した場合に、民間宿泊所、ビジネスホテル等を利用させ、その宿泊費を住宅扶助費として支払うことを認めてきた。とりわけ、今般の新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、厚生労働省は更に、令和2年4月17日付け「新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言に係る対応に当たっての留意点について」という事務連絡を出し、「新たに居住が不安定な方の居所の提供、紹介等が必要となった場合には、やむを得ない場合を除き個室の利用を促すこと」とし、個室での保護を原則とすることを明らかにしている。集団での生活には感染リスクが伴うことからすれば、この厚生労働省の事務連絡は妥当なものである。
だが、自治体のなかには、上記の事務連絡について「無料低額宿泊所において入居者又は職員に感染者が発生し、転居が必要となった場合の準備を進めるよう求めるもの」と限定して解釈する運用もみられる。今後、失業や住居喪失により生活保護の申請の増加が見込まれるなかで、そのような運用が福祉事務所を設置する県内自治体でなされているとすれば問題である。
そもそも、ホームレス状態であるということは、急迫した事情(生活保護法4条3項)があることが明らかであり、直ちに保護を開始すべきである。そして、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利(憲法25条1項)を保障するために、安定した住居を得ることは必要なものである。
特に新型コロナウイルスの感染拡大状況において、路上生活の継続や施設への入所を強いられることは、その者の健康や生命に重大な危険をもたらしかねないことを、生活保護の運用にかかわるものは自覚すべきである。
以上のことから、当会は、福祉事務所を設置する県内の各自治体に対し、ホームレス状態にある者からの生活保護の申請があった場合には、生活保護法及び厚生労働省の事務連絡の趣旨を踏まえ、急迫した事情があるものとして生活保護を開始するとともに、ビジネスホテル等の宿泊にかかる費用を住宅扶助として支給する取扱いを原則とするよう強く求めるものである。

2020年(令和2年)5月21日

仙 台 弁 護 士 会

会 長 十 河   弘

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