この制度は,破産しようと思えば出来るほど借金を抱えている場合に,なお,可能な限り返済をして,残りを免除してもらおうという制度です。民事再生手続きは,当初,会社など大きな企業が使う制度として生まれましたが,その後,個人でも使える制度として個人再生手続が設けられました。サラリーマンや個人営業者が使うことを予定されています。これらの制度では,裁判所の許可を得て,返済を続けることになります。従いまして,返済額や返済期間について,法律上の規制があり,その要件を満たす場合にだけ,利用できることになります。
個人再生手続で,サラリーマンのような給与所得者の場合,住宅ローンを除く借金が5000万円以下であれば,最高でその10%(但し可処分所得あるいは清算価値がこれを上回るときはその金額),最低でも100万円を3年乃至5年以内に返済をすれば,残りの借金は免除されます。
個人事業主の場合は可処分所得による弁済の基準が除かれますが,ただし残りの借金の免除に債権者数及び債権総額の過半数が反対しないことが必要です。
さらに,どちらの場合も,不動産についている抵当権が住宅ローンだけであれば,住宅を手放さないで整理が出来ます。もっとも,住宅ローンの支払分は,他の債権者に対する支払分とは別になりますので,その分を除いた可処分所得が必要になります。
借金の額が5000万円を超える場合は,民事再生になりますが,裁判所に納める費用だけでもかなりの額になり,中規模以上の会社でなければ,現実には利用する機会は少ないでしょう。